出家の動機


「はじめに」で触れましたが、日本では宗教に怪しいイメージを持つ人も
少なくありません。私はできるだけフラットな気持ちで出家に挑みましたが、
それでも出家をしたいと日本の親友に伝えるとき、
「あやしい宗教に入ったのでは?」と心配されることが頭をよぎりました。
しかし、その考えは全く必要ありませんでした。
むしろ「出家は素晴らしいことだね」と喜んでくれました。
逆にタイ人の友だちには「そんな遊び半分の気持ちで出家なんてしないで
ほしい」と呆れられる始末でした。

日本人にとっての「出家」はお寺参りや葬式、新年三が日の参拝の部類に入り、
「入信」とは区別されるようです。タイ人は「出家」と「入信」を同一に
考えているため、私に真剣に出家するよう促したのだと思います。
いずれにしても、タイは真面目に出家を希望する人を受け入れてくれる土壌が
出来上がっているのだと知りました。

上記のことからわかるように、出家コースは入信目的ではなく、
純粋に出家をされたい方が参加するのが良いかと思います。
日々生活し、仕事を行なう中で、本当に自分自身に向き合って生きてきたか?
と問われると答えに窮する自分がいます。そこで私は、瞑想を通じて自分自身
と向き合いたいと考えました。そのためには瞑想に適した寺院を探す必要がありました。

私個人が参加を決意した理由は主に以下の5つです。

・日本語でのサポート

タンマガーイ寺院では日本人向け短期出家コースを10年以上行なっており、
数十人の日本人が出家しているという実績があります。そのため、
タイ人僧侶で日本語が話せる人や日本人でタイ語が話せる人が常駐しています。
常に日本語を話せる人が身近にいるため、言葉の壁に窮することはありません。
タイ語を練習してみたければその旨をタイ人に伝えれば教えてさえくれます。

・健康面でのサポート

健康面でもかなり気遣いが行き届いています。持病がある人は
処方されている薬を持ってきたほうが良いですが、
風邪や虫刺され等の簡単な体調不良であれば、寺院側で薬を用意してくれます。
薬で風邪が治らない場合は、寺院に併設されている診療所や近くの総合病院に
連れて行ってくれるので、健康面で心配する必要はありません。

膝が痛いという要望を出したときに夜中にも関わらず膝サポーターをわざわざ
近くの薬局まで買いに行ってくれたことにはとても感謝しています。
ちなみに全ての金額は出家コースの費用に含まれているため、
よほど大きな金額でなければ費用負担はないでしょう。

・タイ文化への興味

タイのしきたりは仏教に関連したものが多くあります。日常生活においても、
誕生日や結婚式、その他特別な日に、托鉢に来るお坊さんに食事をささげたり、
お寺へ行ってお布施をしたり、貧しい人に何かを恵んだりします。

例えばタイ人は子供の頃から、良いことをすれば良いことが起こり、
悪いことをすれば悪いことが起こると教えられています。これは仏教の「因果応報」
の教えで、全ての物事には必ず原因と結果があるというものです。

このようにタイでは幼い頃から仏教の考え方が教えられ根付いています。
出家すればこのタイ文化へ近づくことが出来るのではと考えました。

・瞑想への興味

すでに触れましたが、瞑想の効果は近年、科学的に認められはじめています。
大手企業の経営者やスポーツ選手、結果を出せる人々が当たり前のように
取り入れている瞑想とは何なのかを肌で体感したいと思いました。
忙しい世の中では自分の心と対話する機会は多くありません。
ゆっくりと瞑想の時間をとり、自分のやるべきことを明確にしたい、
心をリフレッシュさせたい、という想いもありました。

・仏教が続いていることへの興味

仏教は釈迦が入滅されてから2600年も続いている大きな宗教です。
歴史があるということは組織運営が卓越しているという意味でもあります。
僧侶になると227の戒律を守って生活するといいます。
その洗練された戒律と組織運営の手法を体験したいという気持ちがありました。



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